ユーロ/円相場は、12月5日の107.96円をピークに、106円台中盤まで軟化する展開に。特に欧州債務問題を蒸し返す動きが活発化した訳ではないが、欧州経済の減速懸念が強まったことで、ユーロに対して調整売りが先行した。主要通貨に対する円売り圧力が一服していることも、ユーロ/円相場の上値を圧迫している。
6日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、政策金利を0.75%に据え置いた。ただ、2013年のユーロ圏成長率予想は9月時点の+0.5%から-0.3%まで下方修正され、依然として厳しい景気見通しにあることが再確認されている。ドラギ総裁は、「来年の後半には経済活動の回復が始まるだろう」としているが、マイナス成長が当初予想されていたよりも長期化する可能性が高まる中、債務問題の解決先送りに対する懸念も浮上している。ドラギ総裁は、利下げを検討したかとの質問に対して「幅広く議論した」と回答しており、近く追加緩和措置に踏み切るとの見方も、ユーロの上値を圧迫した。
もっとも、債務問題が暴走するような事態が回避できるのであれば、ユーロの下落余地は限定だろう。16日には日本の衆院選の投開票が行われ、改めて脱円高・脱デフレが注目され易くなる。来週の日銀金融政策決定会合では、追加金融緩和策導入に対する期待感も強くなっており、徐々に再び円売り圧力が強まる流れを想定したい。
今後1週間の予想レンジは、105.50~108.25円。